
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第5章 秘色
千「圭太くん、長い間どうしてたの?」
俺の姿を見るや、彼は嬉しそうに走りより、両手で頬を挟み込んで引き寄せた。
千「まさか…僕を避けてた訳じゃないよね?」
「そ、そんなこと…!!」
…若干、ありました。
千「そう?よかった…。」
そう呟きながら、胸に顔を埋める彼を抱きしめる。
千「ちょっと…痩せた?目も窪んでるし。」
と、戸惑う俺を無視し、さらに顔を近づけ覗き込んできて、
終いには、自分の額を俺の額に押し当ててきた。
「あ…あの…」
千「熱もなさそう。…良かった。元気そうで。」
俺から少し顔を離して笑う。
同じ男なのに、意外に綺麗な彼の肌。
言葉にしてしまったら怒られるかもしんないけど、一見、女の子に間違えられそうなぐらいに可愛らしい顔立ちに、
心臓が破れそうなほどどきどきした。
千「ね…圭太くん。」
「えっ!?はっ、はい。」
千「キスしていい?」
「あっ…うん…エエッ!!」
今、キス、って…?
確認しようと口を開きかけたその時、
言葉はその出口を失った。
