
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第5章 秘色
「いや…」
慎「ふっ…珍し。タイプの子を見つけたら速攻、落としにかかるのにな?」
そう。これ、と目星を付けた女の子は速攻、口説き落としてた。
で、相手が俺に夢中になったら急に冷めてきて…
慎「で、飽きたらポイ、だもんな?」
慎之介はゴミをグシャグシャと手で丸め、遠くに投げ捨てた。
慎「悪いやつだよ?お前は。」
「………そうだな?」
本当のことだから否定も出来ない。
慎「で?今度はどんな女なんだ?」
「…さあ?」
慎「さあ?って…お前。」
反動を付けて起き上がる。
「俺、今回は止めとくわ。」
慎「え?」
校庭中に予鈴が響き渡る。
「嫌われたくないし…」
慎「は…今さらだろ?あっ、まさか相手にされてないのか?」
相手にされてないどころか、女ですらないしな?
いつもの俺のパターンだとコクって、しばらく付き合って、飽きたらポイ、だったけど…
…何でだろうな?
ほんとに今さらだけど、
これまで付き合っては別れた女たちに申し訳なかった、って、
思ってしまったんだ。
俺の中に住み着いた、あの人の存在が、
俺の中で居座って離れない、あの人の存在が、
今までの俺を許さない、って、
このままじゃダメだ、って、言ってるような気がして…。
