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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第5章 秘色



慎「あっ!!そういやぁ、忘れるところだった!」



と、徐にズボンのポケットから封筒を取り出し俺の目の前にちらつかせた。



慎「請求書。」


「分かった。渡しとくよ?」



慎之介の手の中から奪おうとすると、するり、とかわされた。



何だ?と思ってヤツを睨み付けると、薄ら笑いながら封筒をヒラヒラさせていた。



慎「…会わせろよ。」


「は…冗談だろ?」



奪い取ろうとして、またしてもヒラリとかわされる。



慎「俺が品定めしてやるよ。」


「遠慮しとく。」



声を潜めて囁く慎之介の手の中から、やっとの思いで封筒を奪い取る。



慎「何だよ!?減るもんじゃあるまいし。」


「ダメなものはダメ!!」


慎「…ケチ。」


「そんなことより授業始まるぞ?」



口々にやべぇやべぇと言いながら、



競うみたいに教室へダッシュする。



階段を大急ぎで降りて行く俺らと、階段を昇ってくる先公と目が合い、睨まれてしまう。



そして放課後。



親にクラブ活動を禁止されている俺は、授業が終わると帰途につく。



慎「で、どんな女だ?」


しつこいな…。



そして、この男も…



別に、親にクラブ活動を禁止されている訳じゃないけど、



のこのこと俺のあとに着いてきやがった。



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