ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第6章 そして、惹かれていく。
「でも…」
押し戻そうとする僕の手を彼に押し返される。
慎「部品代だけでももらっとかないと、変に勘ぐられんのがヤだったから。」
ほら、この外見だし?と、ヨレヨレのスエットを見せつけるように胸を張って見せた。
「そんなこと…」
慎「あの…手、綺麗っすね?」
「えっ?あっ…」
思わず手を引っ込めてしまう。
慎「あっ!!す、すいません!初対面の人に俺、何、言ってんだか!?はははっ。」
「じ、じゃあ、僕はこれで…」
背を向け、慌てて出ていこうとする後ろで、
ご主人がスエットを着た方の息子さんを怒鳴り付けていた。
「お前、何、ぼさっと突っ立ってんだ!?ちゃんと駅までお送りしろ!!気が利かねぇな?」
慎「るっせぇな!!わーったよ!!」
「あっ!!どうぞ、お構い無く。一人で大丈夫ですから。」
でも、結局、彼は駅まで着いてきてくれた。
「あの…大木さん、て…」
慎「慎之介でいいですよ?」
「慎之介くんて…圭太くんとはいつから…」
慎「ああ…小学校の時からの付き合いです。同じ野球クラブに所属してたんで。でもアイツ、中一の時辞めちまって…。」