ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第6章 そして、惹かれていく。
そう言えば…
慎「アイツが野球辞める少し前に、アイツの兄貴が川で溺れたアイツを助けようとして死んだんです。」
「え…!」
慎「アイツが野球始めたのも兄貴の影響で…勉強もスポーツも出来て、スッげぇ優しくていい兄貴だったんだけど…。」
そんな…
慎「で、アイツ、責任感じて、野球やめて猛勉強して今の学校に…」
『親にやめろ、って言われたんだ。』
『野球ばっかしてないで勉強しろ、って?』
慎「絶対甲子園行こうな?って約束してたんだけどな…」
慎之介くんは立ち止まって足元の小石を拾い上げ、遠くへ投げた。
「慎之介くんは?今はやってないの?」
慎「まあ…ダンナが野球やめてんのに、嫁だけが続けるわけにいかねぇから。」
ダンナ…?嫁…?
僕が訝しげにしているのを見て、慎之介くんが豪快に笑い飛ばす。
慎「あっ、バッテリー組んでたんですよ、俺ら?アイツがピッチャーで俺がキャッチャー。ほら、キャッチャー、って、よく女房役とか言うじゃないっすか?」
「あっ!?ああ!そういうこと?」
慎「まあ、イヤだ!!アタシのことどんな風に見てたのぉ?」
ふざけて科を作る慎之介くんに笑みが零れる。
慎「俺はさ、ずっとアイツの相方でいたかったから、俺も今の学校に入ったわけ…なんだけどさ?」