ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第6章 そして、惹かれていく。
どうして入院してるのか、どこの病院に入院してるのかという問いに母さんは、
ただの貧血だから大したことないのよ、とだけ告げた。
でも、本当の病名は白血病。
僕が本当の病名を知ったのは、伯父さんが亡くなる少し前のこと。
どうにかして本人に会いたくて伯父さんの子供たち、つまりは従兄弟たちにお願いした。
でも、結局会うことは叶わなくて、
後日、僕が会いたがっていることを聞き付けた伯母から連絡があった。
心配してくれてありがとう、僕がとても会いたがっていることを聞いて本人もとても喜んでいた、と。
元気になって退院したらまた、遊びに行くからと、
必ず行くから伝えて欲しい、と、
それだけ告げて、伯母からの電話は切れた。
それから数日後のことだった。
伯父さんが息を引き取ったのは。
葬儀の日のことはよく覚えていない。
訳のわからぬまま制服に着替え葬儀に参列したところまではおぼろ気に記憶にはあった。
けれど、気づいたら僕は、セレモニー会館の控え室で寝かされていて、
心配してついていてくれた母さんの話によれば、焼香にたった際、突然僕がその場で泣き崩れて、
静かになったと思ったら意識がなかったのだと教えてくれた。