
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第6章 そして、惹かれていく。
今でも、伯父さんのことを思うと胸が締め付けられるほど苦しくて、
特に、胸の中に押し込めざるを得なくなった想いに気づいてからは、眠れない夜を過ごすことも少なくない。
うっかり圭太くんを部屋にあげてしまって、写真を見られてしまった時には、
僕の中の歪な恋心を気づかれたか、とヒヤリとしたが、
気付いた様子はなかった。
いや…気づかないフリをしたのかも。
一見、別に見られて困るような写真ではない。
特に、出会って日も浅い彼には、特に。
逆に、見られないように取った自分の行動が怪しまれなかったか、との不安が押し寄せてくる。
でも、そんな中でもふと思う。
想ってるだけなら構わないのじゃないか、
行動に移さなければ咎められないのじゃないか、って。
ほら、圭太くんの友だちの慎之介くんも言ってたじゃない?
何がダメなの?って?
好きになった人が、たまたま男だっただけじゃん?て。
そう…なのかな?
じゃあ、彼がそう言うなら僕はおかしくないのかも知れない。
でも…
『千陽…』
あ………
僕を呼ぶその声を思い出しただけで心が震えた。
