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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第7章 恋という名の下心



圭太side



適当に目についたラーメン屋に入った。



好きなもの、何でも頼んでいいよ?と、言葉通り、



俺はメニューをろくに見ることもなく、ラーメンなんて久しぶりだったこともあって、



ついついあれもこれもと、調子にのってオーダーしてしまっていた。



しまった、と思い、あの人の顔を盗み見る。



お冷やグラスを口元に当ててたまま固まっているあの人に気がついて、慌てて声をかけた。



「あの…千陽さんは?」


千「あ…え、と…これでいいかな?」





しばらくして、運ばれてきた点心の他に、俺の目の前に置かれた大盛のラーメンを見て、彼の目がさらに驚きで見開かれる。



千「これ…本当に食べるの?」


「うん…。」



奢りだと思って、こんなに食いやがって、とか、思われてんじゃないか、って、


恐る恐る顔を上げると、少し困った顔で笑う彼がいた。



俺にとって、あの人のそんな笑顔さえ眩しく思えて、



俯いたまま頂きます、と、両手を顔の前で合わせ、勢いよくそれらを掻き込んだ。



千「ふふっ。スゴいね?いつもこれだけ食べるの?」



柔らかな口調で語りかけてくる言葉が擽ったい。



俺は聞こえていない体でラーメンを必死に掻き込んだ。


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