
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第7章 恋という名の下心
「あの…」
千「何?」
聞いていいのかどうか分からないけど?と前置きした上で、
思い切って写真の人が誰なのか聞いた。
千「亡くなった伯父さんだよ?」
と、以外にもあっさり教えてくれた。
「そ、そうなんだ…。」
だから写真、飾ってたのか。
でも、どうして隠す必要が…。
「あの…何で隠すんですか?」
千「べ、別に隠してなんか…」
そうかな?俺の目に触れないようにしてるみたいだけど?
訝りながらも、彼の話を促す。
「あの…話、って?」
千「あ…うん。」
よっぽど言いにくかったのか、
カップから口を離すと、
何かを言いかけては止めて、ということをしばらく繰り返していた。
千「…のさ、さっきも言ったけど、僕、こんな外見じゃない?」
「うん…?」
千「だから…男の人からもよく言われるの。付き合ってください、って?」
「…ふーん?」
じゃ、俺が自分をどう見てるのかも分かってる、ってことだ。
言いたいことは分かっているのに、本人の口から中々言葉が出てこない。
コーヒーカップを何度も握り直す指先を見ながら、煮え切らない彼にイライラした。
「はっきり言っていいですよ?お前は恋愛対象外だ、って?」
千「え…?」
「男なんて、無理にきまってんだろ?って。」
