ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第8章 もっと、君を知りたくて。
「ふーん、ま、いいけどぉ?」
先輩は意味深に笑いながら奥に消えていった。
そんな分かりやすいのかな?
確かに、彼らといる時間は楽しい。
彼の笑った顔を見ると安心する。
それ以上の気持ちなんて…
あるわけ……ない。
でも、そんなある日、
「映画のチケット?」
慎「ただ、二枚しかないんだよなあ?」
圭「お前とミチ子さんとで行けばいいだろ?」
圭太くんは雑誌を物色するように次々とつまみ上げては元の位置に戻していた。
慎「いや…それも考えたんだけど…」
そう言いながら慎之介くんはチケットを圭太くんの目の前に差し出した。
圭「は?何だお前、俺と行きてぇのか?」
慎「あのなあ…いくら昔お前の女房役やってたから、って、お前とデートしたいぐらい好きだった訳じゃねぇし?」
圭「同じ高校に入ってんじゃん?」
慎「そこは、さ、ほら、お前が寂しがると思ったから。」
俺ってば優しいから、と、圭太くんの肩を抱き寄せニヤリ、と笑った。
圭「じゃ、どうしろ、って言うんだよ?」
すると、慎之介くん、チケットで圭太くんの頭をぺしぺしと叩いた。
慎「バカは俺じゃなくてお前だ、圭太。」
慎之介くんは圭太くんの顔を見たまま僕をアゴで指した。