ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第8章 もっと、君を知りたくて。
週末、圭太くんの学校の休みに合わせてシフトに休みを入れてもらい、
映画館で待ち合わせることにした。
どんな映画なのかは、圭太くんがチケットを持っていて僕は知らなくて、
男同士で見る映画だし、まさか、恋愛映画じゃないだろう、って、思っていたら…
「ね…圭太くん、回り、カップル多くない?」
圭「あのバカ…。」
そのまさか…だった。
圭太くんは出よう、とさかんに言ってたけど、
せっかく貰ったんだし?と説き伏せた。
でも、始まって一時間ほどして圭太くんがソワソワしだした。
それもそのはず、その映画は、僕みたいな大学生ならいざ知らず、圭太くんのような高校生が見るには際どいぐらいの映画だった。
慎之介くんがどうしてこの映画を先輩と観に行かずに僕らに譲ったのか、あとで慎之介くんを問い詰めてみよう、と思いながら見ていたけど、
隣にいた圭太くんは、気づいたらやっぱり退屈だったのか、寝息を立てていた。
圭「俺、ちょっとトイレ行ってきていい?」
「うん。いいよ?」
エンドロールが始まるとすぐ、圭太くんは席を立ち走って出ていった。