ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第8章 もっと、君を知りたくて。
でも、いつまでたっても戻ってこなくて男子トイレを覗き込んでみても圭太くんの姿はなかった。
個室…かな?
もしかしたら、お腹の調子が悪いのかも?と、ロビーで待つことにした。
圭「ごめん。待たせちゃって?」
「ううん。それよりどこか具合でも?」
圭「えっ?あ…いやっ、大丈夫。」
と、慌てて力瘤を作ってみせた。
「ならいいけど。じゃあ、このあとどうする?」
圭「そうだなあ…」
「………。」
この感じ、何だかデートみたくない?
映画見て、食事して…
あとはドライブ、とか。
こんな普通のデート、したことなかったなあ…。
…って、そもそも、デートらしいデートなんてしたことないじゃん?
ずっと、引き摺ってきたし…。
ふーっ、と大きく息を吐くと寂しそうな目をした圭太くんと目が合う。
圭「俺といてもつまんない…かな?」
「あっ…ううん。そうじゃなくてこんなデートらしいデートしたことないな、って?それより何処かでお茶でも飲む?」
圭「…うん。」
映画館を出て少し歩いた場所にある、壁に蔦の張った雰囲気のある喫茶店に入ることにした。