ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第8章 もっと、君を知りたくて。
「るせ…。」
照れ隠しに、早足で店内から出て行く。
俺のあとに続いて出てきた悪友に、俺は何年かぶりにこう言った。
「慎の字、ありがとな?」
慎「お?その呼び方懐かしくね?」
「…そうだな?」
振り向いて、ファインプレーをかましてくれた悪友にヘッドロックを食らわす。
慎「だーっ!!やめっ…くっ、ぐるじい…」
ギブだギブ、と、俺の腕を叩く。
慎「はーっ。ったく、手加減しろや?」
「悪ぃ悪ぃ。」
と、やはり、何年かぶりに肩を組み、笑いながら歩き出す。
慎「圭太。」
「ん?」
慎「今度こそ、だからな?」
「あ?ああ…。」
一瞬、その言葉の意味を量りかねて曖昧に返した。
慎「で、これからも私と変わらずお付き合いしてね?圭太くん?」
と、ヘッドロックの仕返し、とばかりに慎之介は、俺を羽交い締めにし、頬に唇をべちゃっ、と押し当ててきた。
「うわっ!?汚ったね?」
慎「ちょっとぉ…アタシのチューが汚い、って何?」
慎之介とじゃれ合いながら、
俺は今度こそ、の意味を頭の中で反芻していた。