
兄と妹
第3章 悩みと不安
~千架視点~
「あいつ可愛すぎだろ…。」
千紗が可愛いのは今に始まったことではないが、さっきのハグはとびきり可愛かった。
オレは昨夜のようにまた千紗に抱きつこうか悩んだ。
だが、オレは今まで通り理性を保てられるか自信がなかった。
千紗は大事な大事な妹…もし理性を失って千紗に乱暴なことをしたらと思うと自分が怖かった。
でも、あれで確実に千紗を傷つけてしまったであろう…。
そんなオレに千紗を好きになる資格なんてあるのか…?
もうそれならいっそのこと…千紗のことを諦めた方がいいかもしれないな。そうだ、それがいい。
だって千紗は妹だろ?
罪のある行為じゃねーか。そうだ、罪のある行為なんだ…。
「篠亜…くん…?どうしたの?ずっとブツブツ何か言ってたけど…。」
「あっ…園村か…いや…何でもない…。」
園村というのはオレと同じ大学の同級生で、割と仲はいい方である。
オレは1人で呟きながら大学まで歩いていたらしい。
