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兄と妹

第3章 悩みと不安

オレは今日も真っ直ぐ家に帰った。



「お帰り、お兄ちゃん。」


「ああ、ただいま。」



千紗はいつも通りご飯の用意をしていた。

オレはエプロンを着て、千紗の手伝いをした。



思わず抱き締めそうになる衝動を抑え、ご飯を作り終えた。



「じゃあ食べよっか…。」



オレがそう言って千紗に背を向けたその時。


ギュッ…


千紗がオレの服を後ろから引っ張ってきたのだ。



「ん?なんだよ千紗。」



オレは笑顔で振り向いた。


千紗は顔を赤くしながら上目遣いでオレを見ていた。それも悲しそうな顔で。



「え…。」



あまりの可愛らしさに何も言えなかった。





千紗はハッとなって手を離し、なんでもないと言って目を逸らした。


お互いしばらく沈黙していた。



「そうだ!日曜日予定空いてる?。」


沈黙を破って千紗が言った。



「あ…ごめん。約束があるんだ。何かあるの?。」


「ううん。なんでもない…。」




千紗は一体どうしたのだろうか…。

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