
兄と妹
第5章 溢れる想い
オレは乱暴にドアを開けて自分の部屋に入り、ベッドに寝転んだ。
「こんな名前大嫌いだ…。」
オレは涙をうっすら浮かべながら呟いた。
「私は好きだよ?。」
「ああそうか…好きか…って千紗!?。」
「ごめんね、勝手に入っちゃって…。冷やすものとか持ってきたから殴られたとこ教えてくれる?。」
千紗は微笑んでいたが、どこか悲しそうな目をしていた。
その目にオレは胸が痛んだ。
「ありがとう…でも自分でやるから置いておい…」
「ううん、私がやりたいからお兄ちゃんは大人しくしてて。」
オレの言葉を遮って千紗が言った。
恐らくこれ以上断っても無駄だろう。
「じゃあお願いします…。」
オレは千紗に甘えることにした。
「うん、任せて!。」
さっきの悲しみを帯びた笑顔とは違って、千紗はいつもの明るい笑顔で言った。
