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兄と妹

第5章 溢れる想い

千紗が手当てしてくれているのを俺はただ黙って見ていた。


長いまつげ、整った顔、サラサラの髪、ツヤのある唇。
やはり千紗は可愛い。

もし兄妹じゃなかったら…間違いなく好きになっていた。
まぁ逆に兄妹だからこそ千紗の性格とかをよく知れたとも言えるけどな。



「…お兄ちゃんどうしたの?手当て終わったよ?。」


千紗に心配そうに声をかけられた。
千紗について考えていたらついボーッとしてしまっていた。


「あ…ごめんごめん。ちょっと考え事を……あ、そういえば千紗はどうしてオレの名前が好きって言ってくれたの?。」


さすがに気になったので聞いてみた。
千紗は顔を赤くして照れていた。

ヤバい…可愛い…このままだとオレ千紗のこと…



「だって、私もお兄ちゃんも千って字がついてるでしょ?大好きなお兄ちゃんとお揃いの漢字があって響きが似てるって嬉しいじゃん!…それでもやっぱりお兄ちゃんは自分の名前嫌いなの?。」


千紗は上目遣いかつ寂しそうな目でオレを見た。


キュン。
まるで漫画に出てくるような効果音だが、この時のオレは確かに千紗のことを異性として意識していた。

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