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兄と妹

第6章 初めてのデートは雨模様


遊園地はさほど遠くないので、私と千架は歩いていた。

今歩いてる場所は私の家の団地内で知り合いが多いので、さすがに手を繋げなかった。

普通のカップルのようにいちゃつくことができないこの制限を私は少し寂しく感じた。






「あら、千架くんに千紗ちゃん。」



突然後ろから私を呼ぶ声がした。

振り向いて見たら近所に住むおばさんだった。
愛想が良くていつも私達に挨拶をしてくれるいい人だ。

もちろん私達は挨拶を返した。


「これから2人揃ってどこ行くの?」


「お兄ちゃんと2人で遊園地に行きます。」



相変わらず仲がいい兄妹ね。

おばさんは笑顔で言ってくれたが、他人から兄妹と言われると自分達は兄妹なんだと改めて思い知らされる。



そしてその兄妹で付き合っている…。


なんとも言えない惨めな気持ちに私はなった。



そんな私の気持ちが伝わったのか、綺麗だった青空に少し雲がかかってきていた。

天気を気にするどころではなかった私は、そんなことにその時全く気づかないでいた。


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