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淡雪

第7章 アイドルの世界

その日からライブの様子が変わった。

客席近くで踊っていると

『坂井くーん』

という声が聞こえる。

振り向いてにっこり笑うと

『キャー』

という声が返ってくる。

その反応に驚いて振りを忘れそうになる。


昨日は客席をみる余裕はなかったが

良く見るとstampの団扇に混じって

ジュニアの団扇を振っている人もいる。

stamp目当てばかりじゃなさそうだ。

来週はここでジュニアのライブも予定されているが

stampのドームツアーに同行する俺はそのライブには出ない。


客席を眺めなから踊っていると突然腕を捕まれ走らされた。

名取くんだ。


オイオイどうなってんの?!


MCになると袖へ戻る俺を中尾くんが呼び止める。

『ドラフト1位指名 J事務所

 坂井賢夢!』

キャーという物凄い歓声が会場に沸き起こる。

俺はただ呆然とするしかなかった。
気の効いたことでも言いたいけど...

正直リアクションとれないよ...

参ったな...

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