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淡雪

第10章 想いを遂げる

僕は彼女を抱き締める腕に力を込めた。


ーーこんなことって...

  こんな嬉しいことって...


「坂井くん?」

いきなり抱き締めた僕を彼女が不思議そうに見る。


「ずっと探してたんだ、君を」


「私を?」


「うん。ずっと...

 ずっと 探してた。


 やっと 逢えた」


僕は抱き締めた腕を緩めて彼女を見つめた


「好きだ」


今度はちゃんと彼女をみつめて


そっと唇を重ねた。


彼女が驚く


まだ、唇を重ねるだけのkiss。


それ以上は踏み込めない。


だけど、だけど彼女を抱き締めて


彼女に告白して彼女を見つめてkissが出来るなんて思ってもいなかった。


さっきまで彼女を諦めようとしていた自分


なのに今は腕のなかに彼女がいてちゃんと僕を受け止めてくれる...


さっきとは違う涙が溢れる。 

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