淡雪
第11章 小さな嫉妬
「渡部さん、息子さんと話せたのね」
璃子さんが小さく呟いた。
「なんでそう思うの?」
璃子さんはテレビに顔を向けたまま呟いた。
「最後のシーンで聞こえたの。
“璃子ちゃん ありがとう”って。
息子さん、笑ってた」
そういった璃子さんは
僕の膝の上で小さな寝息をたて始めた。
「寝ちゃったの?」
僕は璃子さんの髪を撫でながら
璃子さんが救った渡部さんによって
演じられた素晴らしい出来のドラマを見続けた。
“ヒットの裏に 槙 璃子あり”
いつの間にか業界で語られるようになった
璃子さんの存在
誰も多くは語らない。
役者も監督もプライドがある。
一人の若い女性によって自らの演技や作品が変わるなど口に出すことはない。
出すことはないが
知っている。
利用している。
それは璃子さんにとって
幸せなことなのだろうか...。
エンディングには
ヘアメイク 槙 璃子
の名前がロールされていた。
璃子さんが小さく呟いた。
「なんでそう思うの?」
璃子さんはテレビに顔を向けたまま呟いた。
「最後のシーンで聞こえたの。
“璃子ちゃん ありがとう”って。
息子さん、笑ってた」
そういった璃子さんは
僕の膝の上で小さな寝息をたて始めた。
「寝ちゃったの?」
僕は璃子さんの髪を撫でながら
璃子さんが救った渡部さんによって
演じられた素晴らしい出来のドラマを見続けた。
“ヒットの裏に 槙 璃子あり”
いつの間にか業界で語られるようになった
璃子さんの存在
誰も多くは語らない。
役者も監督もプライドがある。
一人の若い女性によって自らの演技や作品が変わるなど口に出すことはない。
出すことはないが
知っている。
利用している。
それは璃子さんにとって
幸せなことなのだろうか...。
エンディングには
ヘアメイク 槙 璃子
の名前がロールされていた。