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淡雪

第11章 小さな嫉妬

「ただいま~♪」

いつもは玄関まで迎えに来てくれる
璃子さんの姿がない。


「はい...

 まだ、体調が万全ではないので...

 ...申し訳ありません。

 ...はい、そのときはご連絡させていただきます

 失礼致します」

リビングで誰かと電話している。


そうなんだ、僕の悩みは
璃子さんに仕事のオファーが殺到していること。

璃子さんは僕に気を使ってか
普段は携帯を切っている。

たまに電源を切り忘れていると
メールや電話の着信音が鳴り続けている。

もしかしたら僕よりもオファーが多いかもしれない...。


たしかにここ数ヵ月
各局のドラマが伸び悩んでいる。

そこで、神様 仏様 槙さま
ってわけだ。

ったく
ひとの恋人をなんだと思ってるんだ!

って叫びたいけど
極秘同棲だから誰にも言えないのが
歯がゆくて仕方ない。

早く結婚して
璃子さんは俺のものだって
みんなに見せつけてやりたい!!


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