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淡雪

第11章 小さな嫉妬

カチャン カチャン...

さっきからシチューに刺さるスプーンは
液体をかき混ぜるだけで一向に口には運ばれない。

「シチュー、好きじゃなかった?」

心配そうに僕の顔を除きこむ璃子さん。

「ううん...」

僕は自分でも子供っぽいと思う
情けないと思うけど...

でも気になってしかたがないんだ。

「ねえ、璃子さん」

「ん?」

優しく微笑む璃子さん

「璃子さんの初めてっていつ?」

「え?
 何が?」

璃子さんはキョトンとした顔をしている。

「だから、
 その... セックス」

「ブッ 」

璃子さんはシチューを吹き出した。

「何言ってるの?いきなり」

「...気になって...」

僕は下を向いてシチューをかき混ぜた。

「知りたい?」

璃子さんが余裕に微笑む。

「知りたい」

僕は少し口を尖らせ拗ねた子供のように聞いた。

「坂井くんは?
 坂井くんはいつ?」

「俺、璃子さんに聞いてるの」

完全に子供だ。
いくらベッドで完敗したからって
過去の男が気になるからって
それを聞いたからどうなるわけでもないのに...

「坂井くんが教えてくれてらね♪」

「...高2の時」

「誰と?」

「そのとき付き合ってたマネージャーの子」

「エースとマネージャーか
 よくある話ね」

「バカにしてる?」

僕は上目使いで璃子さんを睨んだ。

「してないよー。
 ごめんね。

 どうだった?
 初めてのセックスって」

璃子さんは興味津々前のめりで聞いてくる。

「別に...
 お互い始めてで
 興味はあったけど
 やり方もよくわからないし
 相手の子はすごい痛がるから
 入れられるようになるまですごい時間かかって

 今日はどうかな
 なんて、まるで宿題みたいにこなしてた感じ

 初めはキツくて痛くて
 お互い気持ちよくなるまでだいぶかかったし...」

璃子さんは微笑みなから聞いている。



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