淡雪
第12章 プロポーズ
「ちがう...」
歩き出そうとした私の手をつかんで
坂井くんは私を胸に抱き締めた。
「違うよ
璃子さん」
坂井くんは力を込めて私を抱き締めた。
「たしかに最初は璃子さんにお礼を言いたいと思ってた。
探しても見つからない璃子さんに
僕を見つけてほしくて甲子園にも出場した。
それでも探せない君に
もっと有名になれば僕を訪ねてきてくれるんじゃないかと思ってアイドルになった。
だけど璃子さんは来てくれなかった。
仕方なかったよね。
あの時の記憶がなかったんだから。
だけどずっと君を想ってた僕は
いつのまにか君に恋してた。
君に会えなくて苦しかった。
やっと再会した君は
僕のことを忘れてた。
想い続けて恋い焦がれていたけど
それは妄想だってことはわかってたんだ」
坂井君は強いまなざしで私を見つめる。
「だけどね、
桜の木の下で見つけた君に恋したのは
妄想じゃないよ。
僕を助けてくれた璃子さんに恋したんじゃない。
あの桜の下で儚げに目を閉じていた君に
本当に恋したんだ。
あの時
僕の意思とは別のところで
愛すべき人にやっと会えた
って思った」
坂井くんは私の頬に手を添え
顔をあげさせた。
「僕を助けてくれたからあなたの面倒をみてたんじゃない。
僕はどうしようもないほど
璃子さんが好きになったんだ。
だから璃子さんを離したくなかった」
坂井くんの顔が近づき
唇が重なる。
坂井くんの切なく苦しい想いが
私の中に吹き込まれる。
涙が落ちていた。
歩き出そうとした私の手をつかんで
坂井くんは私を胸に抱き締めた。
「違うよ
璃子さん」
坂井くんは力を込めて私を抱き締めた。
「たしかに最初は璃子さんにお礼を言いたいと思ってた。
探しても見つからない璃子さんに
僕を見つけてほしくて甲子園にも出場した。
それでも探せない君に
もっと有名になれば僕を訪ねてきてくれるんじゃないかと思ってアイドルになった。
だけど璃子さんは来てくれなかった。
仕方なかったよね。
あの時の記憶がなかったんだから。
だけどずっと君を想ってた僕は
いつのまにか君に恋してた。
君に会えなくて苦しかった。
やっと再会した君は
僕のことを忘れてた。
想い続けて恋い焦がれていたけど
それは妄想だってことはわかってたんだ」
坂井君は強いまなざしで私を見つめる。
「だけどね、
桜の木の下で見つけた君に恋したのは
妄想じゃないよ。
僕を助けてくれた璃子さんに恋したんじゃない。
あの桜の下で儚げに目を閉じていた君に
本当に恋したんだ。
あの時
僕の意思とは別のところで
愛すべき人にやっと会えた
って思った」
坂井くんは私の頬に手を添え
顔をあげさせた。
「僕を助けてくれたからあなたの面倒をみてたんじゃない。
僕はどうしようもないほど
璃子さんが好きになったんだ。
だから璃子さんを離したくなかった」
坂井くんの顔が近づき
唇が重なる。
坂井くんの切なく苦しい想いが
私の中に吹き込まれる。
涙が落ちていた。