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淡雪

第12章 プロポーズ

「ただいまー」

坂井君は普通に家に入っていってしまう。

ーーもう、少しは気を使ってよ!

私はどうしていいかわからず
玄関で立ちすくんでいた。

「どうしたの?
 璃子さんもあがって」

「う、うん...」

立ちすくんでいると

「賢夢?
 
 相変わらずいきなり帰ってくるのね」

奥からお母さんと思しき女性が出てきた。


「こ、こんにちは。

 突然すみません」

頭を下げようとした私に


「璃子ちゃん?」

その女性は驚いたまなざしで話しかけた。


「はい」


「璃子ちゃん?

 本当に璃子ちゃん?」


「はい。

 はじめまして

 槙 璃子 です」


と頭を下げると

その女性は私に抱きつき


「璃子ちゃん!

 会いたかった」

と泣き出した。


「母さん?」


その女性は私を抱きしめたまま離さない。


「母さん、璃子さんのこと知ってるの?」


その女性は私から少し離れて


「いきなりごめんなさいね。

 璃子ちゃん

 私は亡くなったあなたのお母さんのお友達なの」


私は驚いた。


「こんなところでごめんなさい。

 さあ、上がって」


私は女性に促されて
リビングへと入った。

坂井君と隣同士に座って

二人で顔を見合わせていた。







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