淡雪
第12章 プロポーズ
キッチンからお茶を運んできてくれた
坂井君のお母さんは
「こんな奇跡ってあるのね」
と私をまじまじと見た。
「恵子とは高校の同級生だったの。
恵子ははじめクラスに全然なじまなくてね。
話しかけても優しく笑っているだけで
特に仲間に入ろうという感じはなかったの。
どちらかといえば
なるべくみんなと関わらないようにしていた感じだったわ。
ある日学校帰り最寄り駅のホームで電車を待っていたら
誤って線路に落ちてしまった子供がいてね
電車はもう目の前までやってきていたの。
そこにいる誰もがもう終わりだって目をつぶったけど
突然電車が止まったの。
びっくりして周りを見たら
恵子が手を組んで念のようなものを送っていたわ。
そのときすべての時が止まって
私だけがその時の中にいた
そして恵子が
『早くその子を引き上げて!』
って叫んだから
私は衝かれたようにホームに飛び降り
恐怖に立ちすくんでる子供をホームに持ち上げ
私もホームに戻ったの。
次の瞬間には何事もなかったように時が動き出した。
そしてホームの片隅に倒れている恵子を見つけたわ。
私はタクシーに乗せて私のうちに恵子を連れて帰った。
しばらくして目覚めた恵子は
『巻き込んでごめね』
とだけ言った。
『なんで私だったの』
と聞いたら
『波長が合ったんだと思う』
とだけ答えてくれた。
それから恵子は自分の能力の話をしてくれた」
言葉もなく聞き入る私たちに
お母さんは微笑んで
「いきなりごめんなさいね」
照れたように笑った。
坂井君のお母さんは
「こんな奇跡ってあるのね」
と私をまじまじと見た。
「恵子とは高校の同級生だったの。
恵子ははじめクラスに全然なじまなくてね。
話しかけても優しく笑っているだけで
特に仲間に入ろうという感じはなかったの。
どちらかといえば
なるべくみんなと関わらないようにしていた感じだったわ。
ある日学校帰り最寄り駅のホームで電車を待っていたら
誤って線路に落ちてしまった子供がいてね
電車はもう目の前までやってきていたの。
そこにいる誰もがもう終わりだって目をつぶったけど
突然電車が止まったの。
びっくりして周りを見たら
恵子が手を組んで念のようなものを送っていたわ。
そのときすべての時が止まって
私だけがその時の中にいた
そして恵子が
『早くその子を引き上げて!』
って叫んだから
私は衝かれたようにホームに飛び降り
恐怖に立ちすくんでる子供をホームに持ち上げ
私もホームに戻ったの。
次の瞬間には何事もなかったように時が動き出した。
そしてホームの片隅に倒れている恵子を見つけたわ。
私はタクシーに乗せて私のうちに恵子を連れて帰った。
しばらくして目覚めた恵子は
『巻き込んでごめね』
とだけ言った。
『なんで私だったの』
と聞いたら
『波長が合ったんだと思う』
とだけ答えてくれた。
それから恵子は自分の能力の話をしてくれた」
言葉もなく聞き入る私たちに
お母さんは微笑んで
「いきなりごめんなさいね」
照れたように笑った。