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淡雪

第12章 プロポーズ

「それから私たちは親友になった。

 彼女とはいろいろあったわ」


お母さんは思い出すように天井を見上げた。


「恵子、やっと連れてきてくれたわね。

 ずいぶん時間がかかったんじゃない?」


まるで誰かに話しかけるように

笑っていた。


「璃子ちゃん

 あの時賢夢を助けてくれてありがとう」

お母さんは居ずまいをただして私に頭を下げた。

「いえ、私が助けてもらったんです」

私もあわてて頭を下げる。

「母さん、璃子さんのこと知ってたの?」

お母さんは坂井くんを見て頷いた。

「だったらなんであの時教えてくなかったんだよ。
 俺が璃子さんを探してたのは知ってただろ?」

坂井くんは気色ばんだ。

「賢夢の話を聞いたとき

 すぐに璃子ちゃんかもって思ったわ。

 でも、ああゆう力は利用されやすいから。

 きっとそのうち来てくれるんじゃないかって思ってね。

 恵子も力のせいで随分辛い人生を送ったから
 恵子のようにさせてはいけないと思って黙ってたの。

 それに私も璃子ちゃんが星蘭に通っていることは聞いていたけど自宅は知らなかったし」

お母さんは手元のお茶を見つめながら静かに語った。

「あの...

 私、母のこと何も知らなくて...

 だから、もっと教えて頂けませんか?」

お母さんは顔をあげて微笑んだ。

「ええ。

 これからゆっくりと教えてあげるわ」


私と坂井くんを見つめて


「二人は一緒に住んでるんでしょ」

と嬉しそうにわらった。




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