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淡雪

第12章 プロポーズ

「びっくりしたなぁ...」


坂井くんの実家を出ると
彼はまずそれを口にした。


「しかし母さんもひとが悪いよな。

 わかってて黙ってたなんて」


坂井くんは不満を口にしていたけど

私は私を産んですぐに亡くなった

母が気になって仕方がなかった。


ーー私の知らない

  お母さん...


  どんな人だったの?


  お母さんもこの力に苦しんだ?



私はずっと母のことを考えていた。



マンションの駐車場に入り

坂井くんは私を見つめた。


「璃子さん

 さっきの話だけど...


 離れるっていうのは考え直して。

 母さんも璃子さんのこと知ってたし

 璃子さんにとってもとても心強いと思うんだ。

 俺も母さんが知っててくれれば

 俺のいない間もし璃子さんに何かあっても

 母さんに頼めれば安心だし。


 どうかな 」


私は坂井くんを見つめ返した。


すぐに言葉が出てこない。


そして坂井くんは


フッと笑って


「違うな。


 離れないでほしい。


 やっぱり璃子さんを失いたくないよ。


 やっと見つけたんだ。


 1年一緒に住んでわかったんだ。


 やっぱり妄想なんかじゃなかった。


 僕はどんどん璃子さんが好きになってる。


 貴女と離れるなんて考えられない」


そっと私を抱き締めた。


「璃子さん、大好きだよ」


そして私にキスをした。






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