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現場はちょうどセット替えらしく出演者は
各々時間を潰している。

主役の先輩、西さんは監督と話しをしていた。
少し離れた場所で話しが終わるのを待っていると西さんが僕に気づいて手招きをしてくれる。

「おはようございます。
　坂井です。
　明日から宜しくお願いします」

頭を下げて挨拶をすると

「監督、うちの事務所の
　坂井　賢夢　です」

と紹介してくれた。

「坂井くん、明日から宜しくね。
　時間があるならもうすぐ撮影再開するから見ていくといいよ」

僕の肩を叩いて立ち去っていく。

「ありがとうございます。
　宜しくお願いします」

監督の背中に挨拶をすると

「出演者の方を紹介するから
　ついてこい」

西さんはにこやかに談笑ながら
僕を紹介してくれる。

やっと本格的に芸能活動を始めた僕はほとんどの方が初対面なので緊張しっぱなしだ。

「緊張するよな。
　それも経験だから楽しめ」

西さんは一通り紹介してくれると
僕に向かって余裕の笑みを見せた。

僕もこんな風に後輩に余裕を見せられる日が来るのだろうか...。