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淡雪

第13章 愛されること

翌日は朝から撮影だった。

僕の出番は台本上は午後からだけど
初めての時代劇だから朝から現場に入って
食い入るように撮影を見ていた。

「昼休憩入ります。
 今日は西さんからハモ懐石の差し入れいただきました」

オオッ

と現場がざわめく。
西さんが謙遜しながらお礼の言葉を受けていた。

ーーハモかぁ...
  食べたことないな。
  折角京都に来たんだから
  名物食べなきゃな♪

俺は鼻唄混じりに順番待ちの列にならんだ。

と、

「あー、坂井くん
 いたいた」

昨日東京駅で別れたマネージャーの声

振り向くと

「坂井くん、昨日の話
 ちょっといいかな」
 
ーーえ?!

  ハモ...


俺は恨めしげにハモ懐石を見つめながら
マネージャーに腕を引かれ
外へと連れ出された。

  

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