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淡雪

第13章 愛されること

悪い予感しかしない。
俺のいないところで社長が璃子さんに何を言うんだろう?
俺が帰ったら璃子さんがいなくなってる...

なんてことにならないだろうか。

「何を考えてる?」

マネージャーの声で我に帰る。

「社長が槙さんに身を引いてくれって

 言わない?」

俺は不安を口にした。

「多分大丈夫だ。

 社長が交際は構わないと言ったんだから。

 多分...」

そのあとの言葉が耳に入らない

ーー絶対って言ってくれよ

「坂井、聞け!
 
 槙さんの連絡先なんて簡単にわかるんだ。
 お前にわざわざ聞くまでもない。

 だけどあえて俺は京都まで来て
 お前に連絡先を教えてくれと言っているんだ。

 お前たちの交際は認める証拠だ。

 そしてお前から槙さんに話しを伝えることができる。

 安心しろ」

僕は渋々璃子さんの連絡先を伝えた。

マネージャーはそれを受けとると
撮影所に引き返した。

僕は結局
ハモもコンビニの弁当すらまともに食えず
初日の撮影に入るハメになる。

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