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淡雪

第14章 リーク

僕は事務所の会議室に一人、待たされていた。

事務所のざわめきが静かな会議室にまで聞こえてくる。
ありがたいくらい忙しいのが伝わってくる。

「you 待たせたね」

扉を開けて笑顔で入ってきたのはJ さんだった。

Jさんと会うのは何年ぶりだろう。
確かグループを結成するとき以来か...

「you 元気ないね。
 絶賛熱愛中とは思えないよ」

僕に笑顔を向けてくる。

後ろから固い表情で入ってきたのはマネージャー。

僕は立ち上がってJさんに頭を下げた。

「you パンドラの箱を開けてしまったね」

僕は言われている意味がわからなかった。

「璃子は誰かのものにしてはいけない

 これは業界の暗黙のルールだったんだ」

椅子に座ったJ さんは静かな口調で話し始めた。


ーー?!


「知らなかったようだね」

「はい」

僕は戸惑いながら返事をした。

「璃子がほしいと思う人はたくさんいるよ。

 だからこそ今まで誰も手を出さなかった」

Jさんの口調は低く静かに室内に響く。

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