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淡雪

第14章 リーク

ーー髄分遅くなったな...

時計は深夜零時をまわっていた。
駐車場に停めた車
ふと見ると田村くんの車も停まっている。

ーー田村くん来てるんだ。
  稽古場かな

そんなことを思いながら車のエンジンをかけた。

ーー璃子さんになんて説明しよう...
  事務所がリークさせたなんて言っても大丈夫だろうか

  璃子さんのことは?
  利用しようとしている
  なんて...言えないよ

  璃子さんが業界でパンドラの箱
  なんて言われていたなんて...

  僕だって何となく知ってはいたけど 
  
  でも、僕の気持ちまで疑われたくはない

僕は携帯を取りだし
連絡先を探した。

数回なる呼び出し音

「もしもし?」

電話をかけておいて出た相手にドキドキする
 
「あ、坂井です」

「おう、どうした」

相手は別に驚きもせず普段通りの対応

「あの...実は...

 相談があって...」

僕はモゴモゴと口を動かす。

「週刊紙の記事のことか?」

「はい...」

「で?何が聞きたい?」

「その...
 田村くんは璃子さんのことは
 どう思ってるんですか?」

「はあ?」

耳をつんざく大音量

自分でもなんでそんなことを聞いたのか...

「意味わかんね」

ですよね

「すみません」

僕は小さく謝った。
 

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