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「あの時のドラマは何本目だったかな...

　その前にやっていた数本の恋愛ドラマが好評で
　ある意味では俺は地位を確立しつつあった。

　でも同じキャラでいつまでも続くわけがないと思ってね
　やったことがなかった刑事ものに挑戦した。
　視聴者は俺の恋愛ものが見たいだけでね
　多分‘’あぶデカ‘’みたいなものだったら
　良かったんだろうけど
　俺はあえて泥臭い昭和のデカに挑戦したんだ

　が、視聴者の期待を裏切ったドラマは低迷
　田村もここまでかと言われ
　打ちきりまで言われ始めた。

　俺は焦っていた。
　新たな道を模索して
　突っ走っていたせいで共演者ともうまく絡めず
　スタントを拒否したあげく...

　ビルから飛び降りるシーンで
　怪我をした」

田村くんは恥ずかしそうに
フッと笑った。

「ざまぁーねーな

　着地に失敗して足を捻挫

　大怪我なら話題にもなるが
　捻挫じゃ笑われて呆れられるだけだ。
　2週間撮影が止まるとなって...

　なんかさ
　運に見放されたって痛感した瞬間だったよ」

田村くんは
なんともいえない表情で悲しげに笑った。