淡雪
第14章 リーク
「その時たまたまヘアメイクのアシスタントで璃子ちゃんが来てたんだ。
あの頃は璃子ちゃんは変わり者扱いされててね
すぐに記憶を無くすから何となく敬遠されてたんだ」
「あ!なんか覚えてます。
初めてのドラマの現場で彼女はそんな感じでした」
田村くんはチラッと俺を見た。
「そうか...
俺が捻挫したとなって病院へ連れていこうという話をしているときに
璃子ちゃんがすっと現れて
俺の足首に手を置いたんだ。
そしたら急に温かいものが流れ込んできて
痛みがふぅっと和らいだ。
そして璃子ちゃんは足首に手をあてながら
俺に話しかけてきた。
『田村さん、焦らなくていいですよ
みんなあなたの人一倍の努力を見ています。
あなたが頑張り過ぎたら周りの人は動きにくくなっちゃいますよ。
相手を見て、相手と呼吸して、間合いを合わせてください
そうすればきっとうまくいきます』
俺は可笑しくなった。
そんなことは分かっている。
わかっていたのに...
見えてなかった。
誰に言われても受け入れなかっただろう言葉を初対面の璃子ちゃんに言われて...
なんか足の痛みと一緒に
肩の力も抜けてさ
気づいたら立ち上がっていた。
みんなに頭を下げて
独りよがりになってすみませんでした
と頭を下げていた」
田村くんはポツリと言った。
あの頃は璃子ちゃんは変わり者扱いされててね
すぐに記憶を無くすから何となく敬遠されてたんだ」
「あ!なんか覚えてます。
初めてのドラマの現場で彼女はそんな感じでした」
田村くんはチラッと俺を見た。
「そうか...
俺が捻挫したとなって病院へ連れていこうという話をしているときに
璃子ちゃんがすっと現れて
俺の足首に手を置いたんだ。
そしたら急に温かいものが流れ込んできて
痛みがふぅっと和らいだ。
そして璃子ちゃんは足首に手をあてながら
俺に話しかけてきた。
『田村さん、焦らなくていいですよ
みんなあなたの人一倍の努力を見ています。
あなたが頑張り過ぎたら周りの人は動きにくくなっちゃいますよ。
相手を見て、相手と呼吸して、間合いを合わせてください
そうすればきっとうまくいきます』
俺は可笑しくなった。
そんなことは分かっている。
わかっていたのに...
見えてなかった。
誰に言われても受け入れなかっただろう言葉を初対面の璃子ちゃんに言われて...
なんか足の痛みと一緒に
肩の力も抜けてさ
気づいたら立ち上がっていた。
みんなに頭を下げて
独りよがりになってすみませんでした
と頭を下げていた」
田村くんはポツリと言った。