淡雪
第16章 崩壊
秘書が扉を閉めようとするが
僕は足を挟みドアを閉められないようにしていた。
『どういうことです?
話が違うじゃないですか!』
プロデューサーが気色ばんだ。
『ですから
いまの現場が思いの外大変なようで
立て続けは難しいかと...』
僕はキャシーさんの言葉に胸を撫で下ろすところだった。
『はじめから受けてくれる約束でしたよね』
崖っぷちのプロデューサーは折れる気はないらしい。
『ですから
璃子もかなりリスクを背負うわけですから
最初のギャラでは到底お受けすることは...』
キャシーさんは璃子さんを気遣うふりをして
ただギャラを上げようとしているだけだった。
『300万という話だったじゃないか。
タレントじゃあるまいし
ヘアメイクにしては十分なギャラだと思うが』
興奮するプロデューサーを尻目に
キャシーさんは冷たくいい放つ。
『では他を当たってください。
上手なヘアメイクさんは他にも沢山いらっしゃいますから』
『なっ...
彼女じゃなきゃダメなんだ』
今度はプロデューサーはすがるような声に変わる
『こちらも無理を押してお引き受けするわけですから
そこはご理解頂かないと』
プロデューサーは渋い顔をする。
『では500万』
キャシーさんは静かに首を振る
『...700』
またキャシーさんは首を振る。
『は?!
それ以上出せと言うのか!!』
キャシーさんは人差し指を立てた。
『なっ?!
まさか...1000万?』
キャシーさんは頷き
『それくらいの価値はありますよね』
そういって声高に笑った。
僕は足を挟みドアを閉められないようにしていた。
『どういうことです?
話が違うじゃないですか!』
プロデューサーが気色ばんだ。
『ですから
いまの現場が思いの外大変なようで
立て続けは難しいかと...』
僕はキャシーさんの言葉に胸を撫で下ろすところだった。
『はじめから受けてくれる約束でしたよね』
崖っぷちのプロデューサーは折れる気はないらしい。
『ですから
璃子もかなりリスクを背負うわけですから
最初のギャラでは到底お受けすることは...』
キャシーさんは璃子さんを気遣うふりをして
ただギャラを上げようとしているだけだった。
『300万という話だったじゃないか。
タレントじゃあるまいし
ヘアメイクにしては十分なギャラだと思うが』
興奮するプロデューサーを尻目に
キャシーさんは冷たくいい放つ。
『では他を当たってください。
上手なヘアメイクさんは他にも沢山いらっしゃいますから』
『なっ...
彼女じゃなきゃダメなんだ』
今度はプロデューサーはすがるような声に変わる
『こちらも無理を押してお引き受けするわけですから
そこはご理解頂かないと』
プロデューサーは渋い顔をする。
『では500万』
キャシーさんは静かに首を振る
『...700』
またキャシーさんは首を振る。
『は?!
それ以上出せと言うのか!!』
キャシーさんは人差し指を立てた。
『なっ?!
まさか...1000万?』
キャシーさんは頷き
『それくらいの価値はありますよね』
そういって声高に笑った。