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淡雪

第16章 崩壊

「坂井くん聞いてる?」

新しい番組の打ち合わせ中


「あ、すみません」


ーーダメだ しっかりしろ!


俺は自分に言い聞かす。


「でさ、目玉企画なんだけど

 なんかないかな?」


みんな うーん と考え込んでいる。


「皆さん部活ってなにやってました?」


僕はふと聞いてみた。


「おれ?バスケ」
「私バレー部だった」
「俺、剣道」
「へぇ、剣道? かっこいいね」
「俺、自転車部」
「なにそれ?」
「いや、競輪選手になりたかったんだよね」

と話は勝手に弾んでいく。


「あのー
 例えばマイナースポーツ紹介とかどうですか?」

僕は思っていたことを言ってみた。


「マイナースポーツ?」


プロデューサーが聞き返す。


「ええ。
 みんないろんなスポーツをやって来たけど
 メジャースポーツになっているものって少ないですよね」

「そうだな」

みんなが一様に頷く。

「オリンピックになると話題になるけど
 そうでもなきゃ話題にも乗らない」

「ん、まあ 確かに」

「他局では普段は見向きもしない
 それらのスポーツにつねにスポットを当て続けるんです。
 そうすれば競技人口も増えるだろうし
 オリンピックの取材もしやすいですよね」


なるほど...
とみんなが頷く。

「坂井くん、面白い案だ。
 机上に乗るか検討してみよう」

そのあと30分くらいで今日の打ち合わせは終わった。

急いで家に帰る。


ーー璃子さん、大丈夫かな...




 

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