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淡雪

第16章 崩壊

そしてそれから僕たちは
互いの仕事が忙しく
一緒に暮らしているのに
寝顔しか見られない生活が続いていく...


僕は新番組がスタートして
滑り出しは上々。

マイナースポーツに焦点をあてるという企画が話題を呼んで、僕の体当たりな体験も視聴者からの受けがよかった。

そうなると昼間は取材、夜は番組出演。
東京で取材ができればいいが
地方ロケも多く
マンションに帰れず仮眠をとって
朝イチの飛行機や新幹線で移動することも増えた。

休みのはずの週末はグループのライブがあったり
他局の収録、取材の撮り溜めもあったりして...

4月からもうあっという間に
半年が過ぎほとんど休みは取れない状況...

体力に自信のある俺でも
さすがに息切れ状態。


だけど...

僕はまだいい。
体力だけの問題だから...


璃子さんは?


結局立て続けに仕事を入れられ
とても人に力を貸す状態には見えないほど
疲弊してしまっている。


数週間前に現場で倒れた璃子さんは
今は病院から通勤している。


僕は璃子さんが倒れたと連絡をもらったとき
ワールドカップの取材で海外にいた。


僕は大切な人がそんな状況になっても
近くにいることすらできない...

無理に仕事を入れる
キャシーさんに文句も言えない...


璃子さんを幸せにするなんて...


到底無理なんじゃないか...



もう いっそのこと...





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