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淡雪

第17章 誓約

「璃子ちゃんがパンドラの箱って

 こういう意味だったんだな。

 手にいれた者がとことん利用しちまう。

 これがほんとの怖さだったんだよ」


田村くんの言葉は責めるわけでもなく
なんか自分を納得させるよな
そんな風に聞こえた。


「僕は

 どうすれば いいんですか?」


田村くんを見つめる。


「捨て猫みたいな目で見るな。

 
 せっかくお許しが出たんだ


 誰の目も気にすることなく


 結婚生活を楽しめばいいじゃないか」


田村くんは笑っている。


「でも...」


「でもじゃねーよ

 結婚したかったんだろ?

 夢が叶ったじゃないか」


僕はハンドルから頭をあげられない...


「ところでさ


 婚約指輪って渡したの?」


僕は下を向いたら。


「渡しました...

 でも別れてほしいって言ったんですよ。

 どの面下げてもう一度求婚するんですか。

 僕のせいで璃子さんがどんどんやつれていくのを見て

 それでも結婚して下さい


 なんて言えるわけないですよ...」


語尾は消え入りそうだった。


「そっか」


と笑っている...


ーーなんで?


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