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淡雪

第17章 誓約

「どういう...


 ことですか?」



僕の声は怒りに震えた。



人生で一番大事なことを


なぜ赤の他人が勝手にやってしまうんだ?



膝の上に握った拳の血の気が引いた。



「どういう...



 こと ですか?」


返事をしないキャシーさんに

もう一度聞いてみる。



「...

 書かせたのよ

 知り合いに。

 そして昨日の夜出してきたの」


目を逸らしなかば自棄のように呟いた。



「キャシー!!」



隣でJさんが叫んだ。



「それは


 立派な犯罪ですよ」


僕は意外なほど冷静だった。


「仕方ないじゃない!


 あなたは璃子と別れると言うし


 もともと結婚したかったんだから


 喜ぶべきなんじゃない?」


キャシーさんは混乱しているのか
自分を正当化したいのか訳のわからないことを言う。


「僕、婚姻届 書いてませんよ」


「だから、

 結婚できたんだから

 いいじゃない!」


キャシーさんとは話になりそうもない。







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