無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「あのさ、

　父さん、母さんにお願いがあるんだ」


俺は改まって二人を見た。


「璃子さんとの結婚は急な話だった。

　おれ自身まだもう少し一人前になってからって思ってたんだ。

　だから...その

　ちゃんと挨拶も報告もしなくてごめん」


僕は頭を下げた。


「そんなことは構わないよ。

　知るない子じゃあるまいし。

　俺たちは大歓迎だから」


父さんがそう言うと母も頷いた。


「ありがとう。

　それで...


　今日、Jさんに言われたんだ。

　いまの俺は璃子さんの犠牲の上に成り立ってるって。おれ自身ではまだ仕事は貰えないって...


　悔しかったよ。


　だから俺は璃子さんを自由にするためにも
　2、3年はがむしゃらに働く。
　スポーツキャスターとして確立できるように勉強する。

　海外に行くことも地方に取材に行くことも多い。ほとんど家に戻れないと思う。


　俺が留守の間、璃子さんを宜しくお願いします」


俺は二人に頭を下げた。


「そんなことか。

　大丈夫だ。
　安心してどこへでも行ってこい」

父さんが言った。


「璃子ちゃん

　ここはあなたの家だからいつでもいらっしゃいな」

母さんも璃子さんにそう言ってくれた。


ーー良かった。