テキストサイズ

淡雪

第18章 結婚の波紋

「ちょっと!

 どういうことよ賢夢!」

玄関から大きな声が聞こえてきた。

俺を芸能界に入れた張本人。
長女の登場。


ドカドカと大きな足音をたててリビングに入ってくる。


「ちょっと 賢夢

 あんた結婚したんだって?!」


といいながら僕の横に座る璃子さんを見て


「璃子ちゃんじゃない!!!

 久しぶりー

 元気だった?」


そういって璃子さんに抱きついた。


「理沙さん

 ご無沙汰してます」


「なーに他人行儀な挨拶してるのよ!」


といって璃子さんを離した姉は


僕と璃子さんの顔を交互に見て
指差し確認までして


「ええええ!!

 まさか、ウソでしょー!!!」


と一人で盛り上がって
一人で驚いている。


「そういうことみたいだぞ」


父さんが笑った。


「えー?!

 璃子ちゃん 賢夢でいいの?」


「どういう意味だよ」


僕はうんざりしながら言った。


「そのままだけど?」


姉に何を言ったところで聞いては貰えない。


「璃子ちゃん、

 賢夢が何かしたらちゃんといってね。

 私がガツンと言ってあげるから」


璃子さんは笑っている。


「そういえば...

 幼稚園で苛められたっていったら

 理沙さんその子の家まで乗りこんてくれて...」


璃子さんは肩を震わせて

思い出し笑いをしている。


「泣かせたわよね~♪」


「頼もしいお姉ちゃんです」


「璃子ちゃんは可愛い妹だからね」


そういって兄が座っていた席に座り
空いていたグラスにビールを注いで一気飲みをした。


ーーなんだよ

  僕だけが知らないのかよ。


  ちょっと遅く生まれただけで

  この疎外感...





ストーリーメニュー

TOPTOPへ