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淡雪

第18章 結婚の波紋

「ところで陵は?」

姉は母に聞く。

「お風呂に行ったわよ」


「落ち込んでなかった?」


小声で母に聞いた。


「う~ん ちょっとね」


「だよねぇ。

 あの子ずっと璃子ちゃんのこと好きだったみたいだから」


「ずっと?」


母が聞き返す。


「あ...」


ちょっとだけ不味そうな顔をして


「うん...まあね」


言葉を濁した。


「ところで賢夢

 なんでこうなったの?」


姉とはしばらく会っていなかった。
俺が事務所に入ったのと同時期に家を出て独り暮らしを始めていたから。


「ん...

 撮影現場で会った」


僕はちょっとぶっきらぼうに答える。


「撮影現場?」


「璃子さんヘアメイクの仕事してるんだ」


「ヘアメイク?

 すごいね璃子ちゃん」


姉はもう数杯目のビールを仰ぎながらいう。


「いえ...

 何となく始めた仕事で...」


「そっか」


またビールを飲み干し


「え?!

 ってことはさ

 メッチャ芸能人に会えるの?

 イケメン ウヨウヨ?!」


いきなり興奮しはじめた姉を尻目に璃子さんは笑っている。

相変わらずミーハーだし...


「そうですね。

 イケメン ウヨウヨです」


「えーー!!!

 じゃあさ、今度撮影見学させてよ」


「いいですけど

 坂井くんの方がイケメン揃いだと思うんですけど」


璃子さんが笑いながら答えると


「コイツはいまお堅いキャスターなんてやってるからムリ。

 あ、でもライブは時々行くんだよ。

 私、准一くん押しなのぉ」


姉の目は完全にハート

いくつだよ...




 

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