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淡雪

第18章 結婚の波紋

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璃子ちゃんがトイレに立ったのを横目で見る。

「俺、明日も仕事だからそろそろ寝るわ」

「そう。早いのね。
 あなたの布団干しておいたからベッド使えるわよ」

「ありがとう」

母に笑顔を向けて席をたつ。

「兄さん 俺、来週から2ヶ月アメリカなんだ」

賢夢が呼び止める。

「2ヶ月?長いね」

姉が答える。

「うん。インディーの取材してカルフォルニアのジュニアテニスアカデミーの取材してハワイでサーフィンの世界大会の取材」

「大変そー」

姉が酔いの回った口調で答える。

「マイナーの取材は予算ないからまとめて行くんだって。スタッフも3人しかいない」

「あら、大変なのね。
 マネージャーさんは?」

母が聞く。

「グループのマネージャーしかいないから
 誰もついてきてくれない。
 でも自由が利くしいいんだ」

「そうなの」

「だからテレビの出演も2ヶ月はアメリカからの中継になる。他にも取材できるものがあれば入れるって言われてるから」

「忙しいんだ。
 ありがたいね」

姉の言葉にそうだねと賢夢は頷いた。


「だから、その間

 璃子さんを宜しくお願いします」

もう旦那気取りで
って旦那だけど

いっぱしに璃子さんのことをお願いしてる賢夢を不思議な感覚で見ていた。

「もちろんよ!」

姉が胸を叩き、父も母も頷いている。

「兄さんも頼むね」

賢夢が俺を見る。

「ああ。
 でも俺も仕事忙しいから頻繁に顔を出すわけにもいかないけど
 一応都内に住んでるから何かあったら連絡してよ。
 駆けつけるから」


「ありがとう」


ってそんなに心底信頼した目で見るなよ...


「じゃ、おやすみ」


そういってリビングを出た。


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