無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

ーー胸が　苦しい...

　　初恋なんて子供の頃の淡い恋心だって思ってた。

　　大人になればほろ苦い思い出にしかならないって...

　なのに...

　大人になった璃子ちゃんに

　心がざわつく

　忘れてなんか...いなかった



奥のトイレから戻ってきた璃子ちゃんと鉢合わせする。


「あれ？陵ちゃん？」


酔いの回った璃子ちゃんは無防備で
あの頃のまんまの笑顔を見せる。

ーー勘弁してくれよ...

思わず頭をかく。


「もう寝るわ。

　明日も仕事だから」

璃子ちゃんに笑顔を向けたつもりだけど
上手く笑えてるかな？


「おやすみ　陵ちゃん

　久しぶりに会えて嬉しかった。


　お義兄さんこれから宜しくお願いします」


丁寧にお辞儀をして
僕を見てにっこりと微笑んだ。


璃子が悪い
そんな顔で微笑むから。
そんな顔で俺を見るから...
璃子が悪いんだ

俺は義兄になんてなってやらない


思わず璃子の手首をつかんで
洗面所へ引き入れた。