テキストサイズ

淡雪

第18章 結婚の波紋

璃子はあの日いつも通りに僕の家族と一緒に夕飯を食べ

夜遅く迎えに来た教授夫妻と家に帰った。



そして2度と来ることはなかった...




「やっぱり 俺のせいだったか...」


俺は小さくため息をついた。


「そうだよな

 幼い璃子にキスしたんだもんな」


「フフ...」


璃子が笑った?


「そういう陵ちゃんだって幼なかったじゃない」


「そうだけど...」


「ちがうの」


璃子は僕の目を見た。


「違う?」


「うん...

 確かにキスされたことにも驚いたけどキス事態はよくわからなかった。

 小さい頃から兄がふざけてチューするから
 キス事態にはそんなに驚かなかったの」


「お兄さんて 医者の?」


「ふふ... そうなの。
 赤ちゃんの頃からずっとなの。

 さすがにもうしないけど」


「うそ... 確か18才くらい違うよな」


「そうね。

 だから、妹というか娘というか...

 赤ちゃんのぷにぷにした唇が好きなんだって


 それに兄は高校から海外に行っていたから

 家族の挨拶 みたいな感じ?」


璃子はおかしそうに笑ってるけど
赤ちゃんならともかく...


「実はね 驚いたのはカブトムシじゃなかったの」


「それは...想像つくよ  」


僕は口ごもる。


「だって璃子の足にカブトムシなんて這ってなかったし」


「うん。


 ...あの、手首を捕まれたとき

 初めて人の感情が私のなかに流れ込んできたの」



「...うそ だろ?!」






 

ストーリーメニュー

TOPTOPへ