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淡雪

第19章 危険なガーディアン

監督がコンテを差し出した。

「今回はキャリア女性をターゲットにしている。
 既にモデルたちは街中での撮影は終えている。
 今日はここで朝と帰宅後の2パターンを撮影します。」

監督は朝の絵コンテから説明を始めた。

「田村くんにはファンデーション、アイシャドー、チーク、口紅になってもらう」

「なってもらう?」

俺はイメージが湧かず聞き返した。

「うーん... つまりねぇ

 その、化粧っていうのは女性にとっての仮面武装みたいなもんなんでしょ?」

監督が璃子の方を見る。

「そうですね。
 キャリア女性でしたらその趣向は強いかもしれません」

璃子は監督の疑問にはっきりと答える。

監督は頷いて俺を見る。

「だそうだ。
 だから田村くんにはその武装になってもらう。
 女性が自分を作り上げていく気持ちを作る
 と言えばいいのかな?」


「うーん...」

俺は眉間にシワを寄せた。

「どうかな?」

監督は俺に視線を向ける。

「なんとなく、何となくは分かるんです
 イメージは...

 ただどう動けばいいかな?」

男たちは絵コンテを覗き込んで考え込む。

「メーカーさんのコンセプトは?」

璃子がメーカーの担当者に向かって聞いた。

「しなやかに 強く 

 というのが今回のコンセプトです」


うーん...

と璃子が顎に手を置いて考えている。



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