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淡雪

第19章 危険なガーディアン

アイメイクが施されたモデルの頬を両指で旋律を奏でるように撫でると次はチークが入る。

そして唇にdeepなキスでその気にさせると

少し上気した頬を隠すように
濃い口紅が塗り込められる。


仕上がった鏡の中の女に向かって


「今日も完璧に美しい

 さあ、戦っておいで」

耳元で囁いて
手を取りエスコートして立ち上がらせる。


女はスーツを身に纏い
ハイヒールを鳴らして扉の向こうに消えていく。


「オッケー」


監督の声が響く。


「エロッ」

誰かが思わず溢した。

「ヤバイな、これ放送できるのか?」

そんな声も聞こえる。

俺は監督と担当者に近づく。


「どうですか?」

「どうって...
 俺は凄くいいと思うんだけど
 メーカーさんどうですか?」

監督が担当者に向かって聞く。


「これ、出来上がり見てみたいですね。

 ただ...社長にプレゼンする勇気あるかな...」

そう言って代理店の男に振り向く。

代理店の男は腕を組んで押し黙った。


「じゃあ、念のため
 ソフトなバージョンも撮っておきます?」

俺は提案した。

「そうだな、あとで録り直しになってもモデルのスケジュール押さえられないしな」


休憩を挟んで
鏡前に座るモデルに
手で触れるだけの“魔法をかける”バージョンも撮影した。




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