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淡雪

第19章 危険なガーディアン

セット変えの間に別のスタジオでスチール撮影。

スチールとなるとモデルの迫力が増す。
カメラに向かって圧倒的な動きを見せるスーパーモデルを

ーすげぇなぁ

と感嘆しながら見つめる。

ーー負けられねぇな

モデルの頬に顔を寄せカメラを向く。

「ちょっとすみません」

璃子が撮影を止めた。

璃子は俺の表情とモデルとの動きを見て俺のメイクを直す。
ほんの少しアイライナーを延ばしたり
鼻のシャドーの色を加えてみたり。

映像撮影の時もそうだが璃子は少しでも違和感を感じると撮影を止めて俺を直しにかかる。
始めしょっちゅう撮影を止める璃子に嫌な顔をしていた監督やスタッフ達に

「田村はうちの大事な商品なんです。
 このCM を話題のものにしてみせます」

とはっきりと告げる。
そして言葉通り璃子がほんの少し手をいれるだけでカメラに写る俺の表情がグンと印象的になるのを見て誰も何も言わなくなった。

璃子を下に見ていたスーパーモデルのメイキャッパー達も璃子の腕と色使いを見て
璃子に近づいていくようになった。
メイキャッパーの求めに応じてモデルのメイクまで手をいれている。

璃子はヘアメイクとしての腕も一流。

ーーやっぱり専属にして正解

俺は表情を緩めた。








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