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淡雪

第19章 危険なガーディアン

俺は柄にもなく甘い休日を夢見てきたんだ。
璃子を朝まで抱いて昼過ぎにカフェでランチして手を繋いでパリ観光なんてしちゃって...
もしバレたらどうしようか...
なんて思いながら。

なのに...
なんで俺はDioのタキシードを試着してるんだよ!

「田村さん、いきなりカンヌに行くなんていうから慌てちゃったじゃないですか」

「ああ...
 映画祭ね。
 2年前に録った映画が日本公開できなくて諦めきれない監督がツテでカンヌに出品した。
 で、スケジュール空いてる役者が急遽呼ばれただけだよ」

俺は...甘い妄想をぶち壊されてムシの居所が悪い。

「カンヌなんて凄いじゃないですか!」

璃子の目がキラキラしている。

「俺はいきなりDioのVIP roomに入れるお前のほうがすごいと思うぞ」

裾の長さを調整されなから璃子を見た。

「私のブランドDioの姉妹店なんです」

「はあ?!」

「コネってやつですか?」

なんてニヤニヤ笑ってんじゃねぇ
お前何者なんだよ!

「璃子ちゃん、あとで色々お話聞かせてね」

俺は璃子に極上の微笑みを送った。

璃子が意味がわからず目をぱちくりさせている。

お前は!
例の能力発揮させろよ!
スイッチ切ると人の感情全く理解できねえってどういうことだよ!


俺はパリにきてもう何度目かになる大きなため息をついた。





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